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津地方裁判所 平成5年(わ)39号 判決 1993年4月20日

本籍

三重県一志郡嬉野町大字宮野四一九番地

住居

津市下弁財町津興三〇三番地の三

塗装業

坂口勝

昭和一一年五月二八日生

本籍・住所

津市下弁財町津興三〇三番地の三

塗装業

坂口勝幸

昭和三五年二月五日生

右両名に対する各所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官磯部泰一出席のうえ審理をして、次のとおり判決する。

主文

被告人坂口勝を罰金一七〇〇万円に、被告人坂口勝幸を懲役一年に処する。

被告人坂口勝において右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。

被告人坂口勝幸に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、その二分の一ずつを各被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人坂口勝は津市下弁財町津興三〇三番地の三において坂口塗装の名称で塗装業を営み、被告人坂口勝幸は右坂口塗装の従業員として営業及び経理全般を担当していたものであるが、被告人坂口勝幸は被告人坂口勝の業務に関し、同人の所得税を免れようと企て、水増外注費を計上するなどの方法により、所得の一部を秘匿したうえ、

第一  昭和六三年分の実際の総所得金額が六二〇六万五七一九円で、これに対する所得税額が二七三六万二二〇〇円であるのに、平成元年三月一〇日、情を知らない税理士西村真南を介して、津市桜橋二丁目九九番地所在の津税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一一三〇万七六六七円であり、これに対する所得税額が二二三万五六〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、右不正の行為により、正規の所得税額との差額二五一二万六六〇〇円を免れた

第二  平成元年分の実際の総所得金額が五七一二万九三四七円で、これに対する所得税額が二三六〇万円であるのに、平成二年三月一四日、前記西村真南を介して、前記津税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一一七三万五九三七円であり、これに対する所得税額が二三六万二八〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、右不正の行為により、正規の所得税額との差額二一二三万七二〇〇円を免れた

第三  平成二年分の実際の総所得金額が六二〇〇万六〇五七円で、これに対する所得税額が二五九六万一五〇〇円であるのに、平成三年三月八日、前記西村真南を介して、前記津税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一三四三万五四五六円であり、これに対する所得税額が二九八万一二〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、右不正の行為により、正規の所得税額との差額二二九八万〇三〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

(注) 同種複数の証拠書類の特定は、当該証拠書類の左肩に表示してある検察官請求証拠番号によることとし、その番号の引用は「検書証甲1号」を「甲1」と略記する例による。

判示全事実について

一  被告人両名の当公判廷における各供述

一  被告人坂口勝の大蔵事務官(五通)及び検察官に対する各供述調書

一  被告人坂口勝幸の大蔵事務官(一二通)及び検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の「脱税額計算書説明資料」と題する書面及び査察官調査書六通

一  次の者の大蔵事務官に対する各供述調書

宮川浩次(三通)、宮川みや子、吉川幸宏、木村承準こと李承準(二通)、木平成子(三通)、西村真南(二通)、井谷幸太(二通)

一  津税務署長作成の証明書(甲35)

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲2)

一  津税務署長作成の証明書二通(甲29、32)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲3)

一  津税務署長作成の証明書二通(甲30、33)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲4)

一  津税務署長作成の証明書二通(甲31、34)

(法令の適用)

被告人坂口勝について

一  罰条

判示第一ないし第三の各所為についてそれぞれ所得税法二四四条一項、二三八条

二  併合罪の処理(罰金額の合算)

刑法四八条二項

三  労役場留置

刑法一八条

四  訴訟費用の負担

刑事訴訟法一八一条一項本文

被告人坂口勝幸について

一  罰条

判示第一ないし第三の各所為についてそれぞれ所得税法二三八条(懲役刑を各選択)

二  併合罪の処理

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に加重)

三  刑の執行猶予

刑法二五条一項

四  訴訟費用の負担

刑事訴訟法一八一条一項本文

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 中村謙二郎)

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